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新入社員にこれだけは伝えたい!<br />仕事で大切なホウレンソウ(報連相)のコツ岩瀬大輔(いわせ・だいすけ)ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長。1976年埼玉県生まれ。東京大学法学部を卒業後、ボストン コンサルティング グループ等を経て、ハーバード大学経営大学院に留学。同校を日本人では4人目となる上位5%の成績で修了(ベイカー・スカラー)。2006年、副社長としてライフネット生命保険を立ち上げる。2013年6月より現職。著書は『入社1年目の教科書』『入社1年目の教科書 ワークブック』(ダイヤモンド社)など多数。
(撮影/佐久間ナオヒト)

岩瀬さん とにかく「悪いことは早く言う」。これに尽きます。先ほどのコピーの例でいえば、まず「コピーが使えない」というのが悪いことですよね。先輩に直接、「1時間後に上司とお客様のところへ行くので、この資料を10部コピーをとりたいと思っています。コピーはどのくらいで終わりますでしょうか?」などと、聞いてみるのがベストです。

Aさん でも、なんだか先輩もイライラしながら急ぎのコピーをしている様子で声をかけにくいということもありますよね。そういう場合はどうしたらいいですか?

岩瀬さん 報連相の出番です。

Aさん 上司に「先輩が急ぎのコピーを大量におこなっていて、コピーがとれない」ことを知らせて、相談するのですね。

岩瀬さん そうです。上司から先輩に「コピー機を少し使わせてほしい」と言ってもらうこともできますよね。あるいは、違うフロアにもコピー機があると教えてくれるかもしれません。一人でどうしようと悩んでいる時間はもったいない。「このままだとコピーが間に合わない」という最悪の事態を想定して、早め早めに上司に報告・相談するのです。

Aさん そんなことも自分でできないのかとか、何度も相談に来るなと怒られませんか?

岩瀬さん たしかに、報連相のタイミングは、相手の好みがあるのは事実です。でも、とくに新人のうちは何でも相談するほうがいいと思います。新入社員に許された特権です。どんどん報連相しましょう。
先ほども言いましたが、人は良いことは言うんです。でも悪いことはなかなか言いません。

Aさん 悪いことは隠したくなるかもしれません。

岩瀬さん 隠すつもりはなくても、言いづらくて、先送りしてしまうのです。そうすると、ますます言いづらくなってしまいます。ですので、悪いことほど早く報告する、を心がけてほしいですね。

Aさん 報連相は定期的におこなうものですか?

岩瀬さん そうです。短いメールでもいいので、定期的におこないましょう。
上司は「Aさんは自分の指示を理解してくれているかな」とか「Aさん、ちゃんとあの件進めてくれているのか」とか、新人のAさんことをいつも気にかけているはずです。
だから、最初のうちは多いくらいでちょうどいいと思います。
報連相が少ないと「あの人は全然報告来ないな」と心配する上司もいますが、報連相が多いと文句言う人はあまりいないものです。多すぎるなと思ったら、「1日の終わりに1回報告してくれればいいよ」などと、適切なタイミングや回数を教えてくれるはずです。

Aさん そうですか。じゃあどんどん報連相したほうがいいですね。安心しました!

岩瀬さん 『入社1年目の教科書』の3つの原則2「50点で構わないから早く出せ」も、報連相を早くするだけで習慣化できると思います。

Aさん 早く仕事を覚えるためにも、報連相を意識したいと思います。

新入社員にこれだけは伝えたい!<br />仕事で大切なホウレンソウ(報連相)のコツ

新入社員にこれだけは守ってほしい!3つの原則の原則2「50点で構わないから早く出せ」は、報連相を意識的かつ積極的に行うことで実現できる。

※報連相のコツがわかりました。4月からの仕事も安心して取り組めますね。
次回は、必ず身につけたいビジネスマナーである「敬語」について、新入社員が不安に思っていることを岩瀬さんに質問します。お楽しみに。
(2018年3月29日更新予定)

岩瀬大輔(いわせ・だいすけ)
ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長。
1976年埼玉県生まれ、幼少期を英国で過ごす。1998年、東京大学法学部を卒業後、ボストン コンサルティング グループ等を経て、ハーバード大学経営大学院に留学。同校を日本人では4人目となる上位5%の成績で修了(ベイカー・スカラー)。2006年、副社長としてライフネット生命保険を立ち上げる。2013年6月より現職。
世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2010」選出。
著書は『入社1年目の教科書』『入社1年目の教科書 ワークブック』(ダイヤモンド社)、『ハーバードMBA留学記―資本主義の士官学校にて』(日経BP社)、『生命保険のカラクリ』『がん保険のカラクリ』(文春新書)、『ネットで生保を売ろう!』(文藝春秋)など多数。