国家公務員採用削減は
学生への痛みの押しつけ

 野田佳彦首相が本部長を務める政府の行革実行本部は6日、13年度の国家公務員の新規採用を09年度比で4割超削減する方針を決めた。09年の採用数が8511人であったのに対し、13年度は5100人となる見込みだ。

 それで国家行政に支障がないなら歓迎すべきこと。その分総人件費が浮くのだから反対することはない。

 ただ、いくつか問題がある。

(1)行政分野を問わず一律に削減するのか。

 時代状況に対応して拡大する行政分野もあるし縮小しなければならない分野もある。

 専門職や基礎研究分野まで削るのか。それが明らかではない。

(2)厳しさが増している新卒学生の就職戦線にかなりの影響を与えることが避けられない。

 また国家公務員の年齢構成が逆ピラミッド化していくが、それでも将来的に行政の効率性を維持できるのか。

(3)新規採用数をほぼ半減するとかなり思い切った削減に見えるが、全体数からみると、ほんのわずかなもの。現職公務員は今のままでよいのか。「官のリストラ」は「民のリストラ」に学ぶべきだ。

 一見してこの案はいかにも官僚の発想によるものだ。

 これでは「身を切る」のは学生たち。現役が痛みを避けて、学生に痛みを押しつけることになる。要するに、消費税増税を進める官僚が痛みを引き受け、身を切ったことにはならない。