三井物産が15年調査以来の1位となったほか、三菱商事(2位)、伊藤忠商事(3位)、住友商事(5位)、豊田通商(9位)、双日(11位)、丸紅(17位)、兼松(19位)と、本調査の開始以来初めて総合商社が全てベスト20にランクインした。
世界を舞台に幅広いビジネスフィールドで活躍する商社パーソンに対する学生の憧れは根強く、総合商社人気は健在。17年度決算において上位5社中4社が過去最高益を更新する見込みが報じられるなど、業績も好調で圧倒的な存在感を放っている。
1位の三井物産は、「一人ひとりの『挑戦と創造』」を採用コンセプトに掲げ、フォローアップ型インターンシップと題して、1泊2日とフォローアップの1日を組み合わせた合計3日間のインターンシップを開催。開催地も全国6都市に拡大するなど、学生との接点を大幅に増やしたことが人気を集めた要因の一つであろう。
2位の三菱商事はキャリア教育イベント「1Day Business Workshop」を開催。1日で商社ビジネスを理解できる体感型ワークショップと社員との交流会は「商社ビジネスのダイナミズムを感じられた」「先輩社員の志の高さに感銘を受けた」と好評だ。
金融業界の人気は明暗が分かれた。前述の通りメガバンク3行をはじめとする銀行業界は、マイナス金利の継続に伴う国内マーケットにおける事業環境の厳しさや、AIやRPA(ロボットによる業務の自動化)の活用による大幅な業務量の削減、国内店舗数の減少など将来的な人員削減が予測されるため、その影響からか1992年調査以来、26年ぶりにベスト10から姿を消した。
一方で生損保・証券業界に対する人気は、4位東京海上日動火災保険、6位三井住友海上火災保険、7位日本生命保険、8位大和証券グループと堅調である。
4位の東京海上日動火災保険は昨年秋に初めて「TOKIO MARINE 1DAY WORKSHOP」を実施。ビジネスコンテスト、リスクコンサルティング、デジタルイノベーションの3コースを設け、2月の5日型インターンシップへ誘導するなど、これまで取り込めなかった学生との接点を増やし、より多くの学生を受け入れたことが人気の継続につながったのであろう。
7位にランクインした日本生命保険は、インターンシップを全国各地で開催し、屈指の動員数を誇っている。参加した学生からは、「自分がどんな職種に向いているか分かった」「将来どのように働きたいか考えるよいきっかけになった」といった声が聞かれ、人気を集めていた。
大和証券グループ(8位)は昨年12月から多様なインターンシップを行っており、特に2月のホールセール部門に特化したプログラムは学生の評価が高い。
東京オリンピック・パラリンピックを控え、在京の大手不動産デベロッパーの人気も顕著だ。初めてベスト10にランクインした森ビルは、「国際新都心・グローバルビジネスセンター」をテーマに東京都港区(虎ノ門エリア)の大規模な都市再生プロジェクトを進めていることや、昨年開業した大規模複合施設「GINZA SIX」を手掛けるなど、話題性のあるプロジェクトにより学生の認知が高まったことが人気の上昇につながっているようだ。三井不動産(13位→12位)、三菱地所(16位→15位)も上位にランクインしている。
また、新たな潮流としてメタルワン(33位→28位)、JFE商事(78位→30位)、阪和興業(88位→39位)など鉄鋼系商社の人気が高まっている。