リフォーム市場7.6兆円での残念な変化:「定額制」
年7.6兆円の超巨大市場(*1)である住宅リフォーム。「個々人の発想力を鍛える」という視点で見たとき、とても残念な変化が起こっています。
それは「定額制の拡大・浸透」です。
リフォームの定額制サービスは、地場工務店が昔からやっていたことでしたが、ここ数年大手が追随・発展させ、「新築そっくりさん(*2)」「まるごとホーミング」「暮らしアップ」「ミチガエル」「まるで新築くん」「Marm(マルム)」といったブランドが雨後の竹の子のように立ち上がりました。
仕様や設置設備はだいたい決まってしまっていますが、間取り変更も給排水管の更新も内装替えもコミコミの、値段です。「60m2のマンションなら設備新品・追加料金なしで265万円」「一戸建ての外装・内装すべて一新で坪21万円」などとその安さを競います。
設置設備や仕様を絞り込むことで、大幅にコストダウンし、その分を顧客にも還元する、という面から見れば悪いことではありません。
しかしこれらが「わかりづらかった価格や見積を明確にした!」と受けている、というのは全く解せない話です。
「コミコミで幾ら」のどこが「明確」なのでしょう。確かに、単純でわかりやすい、のでしょう。でも中身は完全なブラックボックスです。
しかも契約前から施主とリフォーム会社は、ゼロサムゲームを戦うことになります。動く金額は同じ(=定額)で品質もほぼ一定。とすれば施主は自分の希望(ワガママ)を通せば勝ち、リフォーム会社はそれを封じ込めれば勝ち、という構図になるのですから。
リフォームの定額制とは「何」なのか
もともと 住宅工事(新築もリフォームも)費用の「曖昧さ」の根源は、そのコミコミ体質にあります。
*1 富士経済の調査によれば、2011年度のリフォーム市場は、全体で約7.6兆円、前年度比1.8%増。新築市場は年間18兆円前後で縮小中。
*2 住友不動産の商品で一戸建て定額リフォームの先駆。「価格は、床面積×m2単価で明瞭」と謳う。受注棟数は全国で7万棟を超えるとか。