加えて、首の骨の中には頸神経と呼ばれる、脊髄神経から枝分かれした神経の束が通っていて、それらは身体のさまざまな場所をつかさどっている。首のこりによって、この頸神経が圧迫されると、首以外の場所に痛みが出ることになるのだ。

◇首姿勢を変えると健康になれる理由

 以上のようなメカニズムで、首は身体の不調に大きくかかわっている。

 では、なぜ首姿勢を変えると健康になれるのか。それは、首が脳を支えていることに関係している。

 成人の場合、頭の重さは4~6キロもある。前に7センチ倒してお辞儀した場合、その負荷はなんと約20キロにもなる。首にはこれだけの負荷がかかっているのだ。そして、頭の中にある脳は、人間の身体で非常に重要な役割を果たしている。身体への命令はすべて脳から行われる。脳を支えているのが首なのだから、その位置が悪ければ、身体のいたるところに支障をきたすというわけだ。

◇首こりは自分でしか治せない

 身体のカギを握る「首姿勢」だが、対症療法では首こりは治らない。なぜなら、長い時間筋肉が緊張状態にあると、肩こりや首こりは必ずできてしまうからだ。マッサージは局所的な血行をよくするだけで、こらない身体をつくることとは直接関係がない。

 では、首こりを治すためにはどうすればいいのか。それは、体幹を鍛え、体軸を整えることだ。首まわりの筋肉にできるだけ緊張を与えない姿勢を意識することが必要である。マッサージという外部からの働きかけではなく、そもそもの自分の身体を変えるのだ。
 
【必読ポイント!】
◆首の習慣、4つのポイント
◇(1)「りんごを頭に乗せる」意識

 実は、体軸を整えることは難しいことではない。ほとんどの人が一瞬でできて、劇的な効果を得られる。

 重力は、地球の真ん中に向けて働く力だ。ということは、人間にとって、重力の引っ張られる方向に逆らわずに重心をとっている状態がいちばん楽に立てる姿勢だと言える。頭の上にりんごを乗せると考えてみよう。りんごが落ちないように、あごを引き、頭を起こし、胸を開いてお尻を出し、お腹を引っ込める。そうすることで体軸が意識でき、一本の軸が通ったよい姿勢をとれる。

 体軸を整えるためには、常に同じ側の手で荷物を持たないなど、日頃のちょっとした工夫も必要だ。通勤中、買い物中、掃除中、あるいはテレビを見てリラックスしている時など、普段の生活でも体軸を少しだけ意識することで、身体は整えられる。

◇(2)湯船につかって、重力から解放される

 姿勢を整えるためには、湯船に浸かることも有効だ。ただしそれは、浮力の恩恵を受けるという理由による。大きな湯船に首までつかって身体を伸ばすと、身体は重力から解放され、もっとも自然な姿勢になることができる。そうして身体は最適な姿勢にリセット・維持される。

 湯船に全身を浮かべることがポイントなので、温泉や銭湯などの大きな湯船に入ったり、自宅の場合でもたっぷりお湯を張って入浴したりするとよい。