しかし、人間はいちばん直近に起きたことの印象に左右されやすいため、「いま、価格が高い/低い」という事実に影響を受けて判断を下しがちです。しかし日々の騰落は、長期的に均してみれば誤差のようなもの。ゆくゆくは平均的な価格トレンドへと戻っていくわけですから、じっと何もせず待っているのが最善手なのです。

個々の株の動きはもちろんですが、株価指標の変化なども気にする必要はありません。いったんインデックス投信での運用をはじめたら、あとは「何もしない」のが大原則です。これは極論かもしれませんが、株価関連のニュースも見ない、新聞の経済ニュースも読まない、ただ持ち続けるだけで大丈夫です。

ところが、その「何もしない」というのが、人間にとっては意外と難しいのです。

「100年に一度の金融危機」というヘッドラインがニュースを駆け巡れば、「これ以上損失が膨らむ前に、なんとかせねば……」という心理が働きますし、「日経平均、バブル期以来の最高値」という情報を知れば、「いまは割高だから、買うのはやめておこう」などという気持ちが生まれてきます。

「安いときに買って高いときに売る」――マーケットタイミングを踏まえた行動は、一見すると賢い選択であるように思えますね。しかし、このような足元のニュースや専門家のアドバイスに影響された投資判断は、じつは非常に危険です。

例として、2004年から2013年の10年間におけるアメリカ株式市場(S&P500インデックス)の推移データを使いながら、次の3人の投資家の行動を見てみましょう。

・Uさん――マーケットタイミングの読みが完璧に当たった人
・Vさん――マーケットタイミングの読みが当たらなかった人
・Wさん――そもそもマーケットタイミングを読まなかった人

2004年初頭、彼ら3人はS&P500インデックス投信に100万円を投じました。ご存知のとおり、この期間にアメリカはサブプライム問題に端を発する金融危機に見舞われ、2009年には株式市場全体の大暴落を経験しています。

各局面で3人がどう振る舞ったか、次の図でご確認ください。