2月中旬以降、急速に進んだ円安・株高の勢いが鈍ってきた。日本銀行の金融緩和に乗じる形で、一気に円を売り日本株を買ってきたのは投機筋を含む海外勢だ。しかし、ここにきて円売りも日本株買いも彼らにとって目いっぱいになりつつある。新たな材料がなければ円安・株高はこれ以上進まないだろう。

 円安・株高の勢いが息切れしてきた。4月4日の日経平均株価の終値は、前日比230円40銭安の9819円99銭となり、3月13日以来の1万円割れとなった。円の対ドルレートも3月28日に1ドル=83円台を割り込んで以降、82円台で推移している。

 上のグラフに見るような今回の急速な円安・株高の直接の契機は、2月14日に日本銀行が金融緩和を決めたことだった。

 インフレ目標を拒んできた日銀が、曲がりなりにも物価上昇率のめどを1%とし、国債などの資産の買い入れ基金を10兆円ほど増額して50兆円とした。年初から緩やかに円安が進んでおり、多くの市場関係者は、日銀は金融緩和に動かないとみていただけにこの決定はサプライズだった。

円買いから一転
円売りに走った海外投機筋

 海外勢、特に投機筋はこの金融緩和を、消費者物価上昇率が1%に達するまで金融緩和を続け、デフレ脱却を目指す日銀の“方針転換”と見なした。それまでの円買いから一転、円売りに走る。

 ヘッジファンドなど海外投機筋の動向を示すシカゴマーカンタイル取引所(CME)の円先物非商業部門のポジションはネット(売り買い差し引き)で2月7日には5万5171枚の買い越しだった。それが3月27日には、売り越し枚数が6万7622枚に達した。2ヵ月弱の間に12万枚強売ったことになる。

 ここに、米国景気回復期待による米国金利上昇が加わる。2月まで3ヵ月連続で非農業部門雇用者数が20万人以上増加した。上昇するとドルが高くなる米国の2年物国債利回りは2月14日に0.291%だったが、3月20日に0.399%にまで上昇した。