メルカリが東証マザーズ上場、ビジネスモデルの課題を東証はどう判断したか メルカリ・山田進太郎CEOメルカリがいよいよマザーズへ上場する。同社の将来性と課題を東証はどのように判断したのか Photo:REUTERS/AFLO

上場を迎えるメルカリが
これまで懸念されてきたこと

 長い間「日本唯一のユニコーン企業」と呼ばれてきた「メルカリ」。同社が東証マザーズへ6月中旬に新規上場することを、東京証券取引所が承認した。ユニコーンとは、株式を公開しないままその市場価値が1000億円を超える企業で、アメリカのシリコンバレーや中国国内にはうようよ存在しているが、日本でそう呼ばれていたのはメルカリただ1社と長らく言われてきた。

 ユニコーン企業の上場であるがゆえに、その株式時価総額も巨大なものになる。現時点で、上場の想定仮条件の上限となる1株あたり2700円で算出すると、時価総額は最大で3730億円。現在東証マザーズの時価総額トップとなるミクシィの時価総額が3000億円弱だから、メルカリは株式を公開した段階で東証マザーズの1位銘柄になりそうだ。

 さて、そのメルカリだが、昨年あたりからずっと「いよいよ株式公開が実現しそうだ」と報道されながらも、結局実現できないという状態が続いていた。メルカリのビジネスモデルに問題があると指摘されたからだ。

 メルカリは、スマホを使って会員同士が要らないものを売ったり買ったりできるフリーマーケットアプリだ。部屋の中にある不用品をスマホで撮影して出品すると、すぐに買い手が見つかるという手軽さから人気となり、先行するヤフオクを凌ぐ人気アプリとなった。

 しかし、メルカリ自身に責任はないものの、スマホを使ったビジネスサービスの常として悪意を持つ利用者も登場し、そのことが問題視された。買い手がお金を支払ったのに商品が届かない、世間で物議を醸す商品が出品されるといった事例は初期に起きたが、その後メルカリ側が制度を整えて、そのような欠陥は改善された。

 一方で、なかなか撲滅が難しかったのが盗品の販売だ。以前、メルカリは登録時に身分証明が不要だったことから、盗品の出品が多いと言われていた。その結果、新聞を騒がすような事件が起きる。四国では、書店から大量の書籍を盗んで出品していた女性が逮捕された。高校の野球部から野球道具を盗んで、メルカリで販売する事件も話題となった。