なぜ、きれいな字が書けないのか
「デジタル文字」と「美しい文字」は違う

 このように下手な字や汚い字では損をすることが多いのですが、なぜきれいな字を書くことが苦手な人が多いのでしょうか。

 まず、第一に手書きの文字を見る習慣がなくなったことが原因として考えられます。大人になると、日常生活で手書きの文字、ましてやペン字のお手本を見る機会は、ほぼないでしょう。スマホ、パソコンでのコミュニケーションが主流になった今、私たちが目にするのは、デジタル文字ばかりです。

 ここで問題なのは、デジタル文字は「読みやすい」ことを目的に作られているため、人の書く美しい文字とはまったく異なるものだということです。

 美しいと感じる手書きの文字は、「はね」や「とめ」「払い」がきれいで、バランスが整っています。一方で、漢字とひらがなでは大きさもバランスも様々です。例えば、手書きで手紙を書くとき、漢字に比べ、ひらがなを少し細く書くことがあります。そのほうがバランスよく見えるからです。こうした手書きのルールが、デジタル文字を使う中で失われ、適正なバランスを忘れてしまうことが、きれいな文字が書けない原因のひとつでしょう。

 加えて、字が汚いというコンプレックスを持っていると、自分の字を人に見せようとはしません。手書きをどんどん避ける傾向になっていき、ますます字が汚くなるという負の連鎖が起きてしまうのです。

字が汚い人が知らない基本中の基本
書き始めの「打ち込み」で大人っぽくなる

 きれいな字を身につけようとした場合、もっとも簡単に上達するのは漢字です。ひらがなやカタカナに比べて画数が多いので難しいと思いがちですが、実は「打ち込み」や漢字の「一」「二」「三」を練習するなど、ポイントを押さえるだけで、ぐっと大人っぽい文字に変身します。

 それでは、まず「打ち込み」の方法から見てみましょう。

 ポイントは、線を書くときに斜め45度に打ち込みを入れて「ため」をつくること。

 ただ、まっすぐなだけの線は、子どもっぽい印象を与えてしまいます。そこで、線の書き出しに、斜めの打ち込みを入れ「ため」を作るようにしてみてください。この斜め45度の打ち込みを入れるだけでも、文字のイメージがぐっと変わります。