だとすれば、保険の本来の姿は「掛け捨て」ということになる。一定の集団の中で不幸な出来事が起きる確率と、その場合に必要な保障金額を計算することで払い込む保険料の額が決まる。それを計算するのが、保険数理人と言われる人たちの仕事だ。

 ところが日本人の場合、多くの人が掛け捨てを嫌うという傾向がある。これはどうも、言葉のイメージにあるようだ。「掛け捨て」という言い方は、何かお金を捨ててしまう響きがあるからだ。「捨ててしまうのだから明らかに損をする、それは嫌だ!」と多くの人は考え、掛けたお金がいくらかでも戻ってくる貯蓄型の保険を好むのだ。

保険と貯蓄を分けて
考えた方が合理的

 ところが本来、保険と貯蓄というのは全く正反対の性質のものだ。「わずかなお金を支払うことで将来起きる危険に備えるの」が保険、「できるだけたくさんのお金を蓄えて将来の楽しみに備える」のが貯蓄のはずで、そもそも目的が根本的に異なるのだ。

 そんな二つを合体してしまうと、保険料は高くなりがちだし、貯蓄としてのリターンはあまり多くを望めないという、とても中途半端なことになってしまう。なぜなら、払い込んだ保険料を「保障に充てる部分」と、「運用して収益を上げる」部分に振り分けなければならないからだ。したがって保険は保険として、貯蓄は貯蓄として分けて考えたほうが明らかに合理的だ。

 例えていうなら、警備保障会社に支払う警備料は、万が一盗難に遭っても被害が最小限となるようにするための保険料だとも言え、仮に一度も泥棒が入らなければ警備料(これは保険料だ)は言わば掛け捨てとなる。掛け捨てでもったいないからといって、貯蓄型の警備保障などというものがあるはずはない。

 つまり保険というのは、保険料を払うことで「保障」を買う商品だから、できるだけ安い手数料で高い保障が得られるのが合理的だ。にもかかわらずその保険料が掛け捨てという言葉に惑わされて、結果的に高いものになってしまっているということなのだ。