4人に1人が結婚しない時代
住宅難民が激増する不安
4人に1人が結婚しない時代と言われるなか、今後未婚者が増え続けると「一生賃貸派」が大量に増えることになりそうだ。しかし、賃貸入居には審査がある。高齢者の「審査落ち」はすで社会問題化している。実はそのことが、後々日本人の住宅事情に大きな影響を与えることになりかねない。今回はこの現象に関する課題を分析し、解決策を提示しよう。
日本は85歳以上の持ち家比率が84%で、民営借家比率は8%に過ぎない。最も低い東京都でも持ち家比率は75%で、民営借家比率は10%だ。日本では家を取得するのは当然と言える水準であり、それだけのメリットも大きいから持ち家を取得しているのが現実である。
しかし、これまでとは時代が変わってきている。その一番の違いは生涯未婚率の急上昇である。
◆図表1:日本全国の持ち家・民営借家比率
生涯未婚率の定義は50歳時点で結婚したことがない人の割合である。現在85歳の人の生涯未婚率は男女単純平均で3.6%だった。この年代の人にとっては、ほぼ全員結婚するのが当たり前ということだ。一方、現在65歳の人の生涯未婚率になると、やや悪化して9.2%になるが、それでも取り立立てて多い数字とは言えない。
この生涯未婚率は、将来的にもっと高くなることが厚生労働省の外郭団体が予測している。それによると、2015年時点で30歳の人の生涯未婚率は男性が29.0%、女性が19.2%、単純平均で24.1%まで上昇するという。実に4人に1の割合だ。男性は約3割、女性は約2割という水準は、85歳より約20%高く、65歳と比較しても約15%高い。これまで0%に近かった数値が15~20%も上昇すると、社会に与える影響の範囲が大きい。ほとんど存在しなかった層が大量発生するのだから、当然である。
◆図表2:生涯未婚率の予測