別の見方をすると、仮に現状の借家比率が続く場合でも、現在借家に住んでいる30歳の人の40%は、65歳になっても借家に住み続けていることになる。 未婚率の上昇を反映すると、これが69%に跳ね上がる。「自分もこのまま賃貸住まいを一生続けるかもしれない」と感じる人は多いだろう。

 ところが、現実はそれ以上に深刻になると想定される。なぜなら、老後に高齢者が賃貸には住めない現実が、すでに大きな社会問題になっているからだ。

保証会社も大家も敬遠
定年後は賃貸に住めないという現実

 20世紀には、賃貸借契約には親などの連帯保証人が必要だった。しかし、21世紀は保証会社が家賃の延滞などを保証することになっている。その利用率は、現在ほぼ100%である。この家賃保証の制度は高齢者には冷たい。延滞を保証するものだからこそ、定収入が低い人ほど審査結果が悪くなる。つまり、どんなに資産を持っていても年金生活の高齢者ではまともな賃貸に住めない。

 こうしたことを背景に、「新たな住宅セーフティーネット制度」という法律ができた。賃貸人が家賃保証弱者の賃貸入居を「断らない住宅」として自治体に登録される住居の数を増やそうというものだ。しかし、目標の0.4%(2020年度に17万5000戸の目標に対して現在は622戸)にとどまっている。将来的に50万戸を見込むが、このまま行くと高齢者の家難民がこの不足分(50万世帯)だけ増えることが予想される。

 先ほどの試算において、借家率が変わらない【シナリオ(1)】で東京都だけでも10万世帯、生涯未婚率分を加味して借家率が上昇する【シナリオ(2)】で70万の高齢借家世帯数が増えるのだから、審査落ちする人が続出する可能性がある。

 また、高齢者が入居する場合、家賃保証会社だけでなく大家も敬遠するケースが多い。なぜなら、高齢者が居室内で死亡する確率が高く、単身だと発見が遅れる場合もあるからだ。最悪の場合は、残置物の処理などが非常にやっかいとなる。