近い将来、脳波を読み取るヘッドセットで
ゲームをプレイできる?

 さて、本題に入りますが、タン・レイという女性が、『脳波を読むヘッドセット』という興味深いプレゼンテーションをしています。
 こちらが、日本語字幕付きの動画ですので、ぜひご覧ください。

 プレゼンテーションの中では、ヘッドセットを付けた男性が、頭の中で思うだけで、コンピュータ画面に浮かんだCGの箱を引き寄せたり、箱を消したりする様子が見られます。

 すなわち、脳波を読み取っているわけです。

 さらに驚きなのは、このプレゼンテーションは2010年と、8年も前のものであることです。

 それから月日が流れ、現在では、座っている人が「右に曲がれ」と思うだけで右に曲がる電動車いすも誕生しています。

 本連載でも、第14回連載で、『介護で威力を発揮! 脳波を読み取る「パワードスーツ」の正体』という記事を紹介しています。

 また、拙著『マルチナ、永遠のAI。』の中でも、美人AIの「マルチナ」が主人公に対して、「脳波を読み取る」というプレゼンテーションをするシーンが描かれていますが、こうしたことはSFでもなんでもなく、すでに実現段階まで研究は進んでいるのです。

 さて、脳波でコンピュータ画面内の箱を引いたり消したりできるのであれば、今後、ゲームはどのような進化をしていくのでしょうか。

 これは、おのずと推測がつくと思います。

 VRゴーグルとヘッドセットを装着すれば、そこは仮想の世界。自分の姿をした主人公が、プレイヤーが思うだけで走ったり、座ったりする。
 必ずやそうなると私は思います。

 また、こうした進化は、ゲームの中でもサウンドノベルゲームとの相性が抜群だと思います。

 最近のサウンドノベルゲームの人気作と言えば、『HEAVY RAIN(ヘビーレイン)--心の軋むとき』『BEYOND:Two Souls』『LIFE IS STRANGE(ライフ イズ ストレンジ)』などがありますが、当然ですが主人公をコントローラーで操作しなければ物語が進みません。

 しかし、コントローラーなど持たなくとも、自分が思うだけでそのように主人公が動いてくれてストーリーを楽しめるようになったらどうでしょう。

 ゲームは「低俗なもの」どころか、お年寄りですら「最高の娯楽」になる。
 カラオケと同じくらいの影響力で人類の余暇のすごし方を変えると、私は真剣に思うのですが、みなさんはどう思われますか。

 なお、そうして作られるゲームは、当然ですが、ふんだんにAI技術が使われることになります。
 このAIは、「ディープラーニング」と呼ばれる仕組みで自己学習をする「子どものAI」と、人が一から教えて丸暗記させる「大人のAI」に分かれます。

 同じAIといえども、両者でどれほどの違いが出るのかは、第1回連載の中で「子どものAI」であるGoogle翻訳と、「大人のAI」である別の翻訳サービスに同じ英文を日本語に翻訳させて、まったく異なる結果になるケースを紹介していますので、そちらを併せてお読みいただけたら幸いです。