過労死弁護団全国連絡会議幹事長の川人博弁護士は、厚生労働省の検討会や講演会等で「長時間労働を抑制するためには、勤務間インターバル制度を採用すべき」と強く提案してきた。過労死の発生は、長時間労働による睡眠不足が誘因の脳心臓疾患等の発症、および、うつ等の精神障害による自死と定義されているからだ。

 だが、2017年の厚労省の調査(※1)によると、日本で「勤務間インターバル制度を導入している(※2)」企業は、わずか1.4%。業種別では、「運輸業・郵便業」(6.6%)、「情報通信業」(1.9%)、「学術研究、専門・技術サービス業」(1.9%)だ。

 運輸業・郵便業が他業種より多いのは、1989年から「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」に勤務間インターバル(8時間以上)の項目が付き、労働基準監督署の指導項目にも入っているからだ。

 同調査で「制度を導入していない理由」の1位は「知らなかった」(40.2%)で、とにかく、制度の認知度がとても低い。しかし、それだけでなく、300人以上の企業では「夜間も含め、常時、顧客や取引相手の対応が必要なため」(約15%)「人員不足や仕事量が多いことから、当該制度を導入すると業務に支障が生じるため」(約12%)の回答だった。

 2012年から勤務間インターバル制度を取り入れたKDDIも、当初、社員から同じような反対意見が出たという。KDDIでは同年、企画型・専門型の裁量労働制の導入と同時に、適用者を対象にした。

 2015年からは、同制度適用者を全社員に拡大した。就業規則で、非管理職全員に最低8時間の勤務間インターバル時間の確保を義務化した。さらに安全衛生管理規程で、管理職を含めた全社員を対象に、健康管理指標(義務化ではない)として11時間のインターバル(月のうち11日以上)を設定した。

 インターバルが翌日の始業時刻以降にかかった場合、所定労働時間はそのままで、就業時刻を後ろにずらす。適用除外は継続性のある業務、緊急性が高い業務、繁忙期の対応等で、上長の判断で8時間未満にする。ただし、2日連続の適用除外はできない。その場合、その部署は対象者に、必ず早帰りなどの健康措置を取ることを義務付けた。

※1:厚生労働省「平成29年就労条件総合調査」常用労働者30人以上の民営企業から抽出、調査対象数6367社(有効回答数4432社、69.6%)
※2:「導入している」の定義は「労働協約・労使協定または就業規則に制度が定められている」