隠岐國学習センター隠岐國学習センター。「教科指導」のほか、「夢ゼミ」という対話や実践形式で、自分の興味や夢を明確にしていくカリキュラムもある

 そこで海士町が設立したのが、「隠岐國学習センター」だ。これはいわば“公立の塾・寺子屋”で、高校の授業や部活が終わった7時頃になると、多くの生徒はそのまま学習センターへと向かう。月謝は1・2年生で月額1万円、3年生で1万2000円。3学年合わせて約130人の高校生が通っている。

 ここにいるのは東京などの都会から呼び寄せた優秀な講師陣で、生徒たちの進学に向けたサポートを行ってくれる。学校では授業形式だが、学習センターでは一人ひとりが学習目標を立て、学びのPDCAを回していく仕組み。つまり、自分の目標に合わせて学習の計画を立てて実践し、振り返って次の計画に生かすという一連の流れが主体的に行えるようになる。自立学習ができるようになるうえ、自分にあった学習を進めていける点は大学受験を考える生徒にとっても安心だろう。

 こうした「教科指導」のほかに、「夢ゼミ」という対話や実践形式で、自分の興味や夢を明確にしていくカリキュラムも魅力の1つだ。1・2年生では月1回、多様なゲストを迎えて地域の課題の解決を考えるゼミに参加でき、3年生になると週1回、自分で設定したテーマについて発表したり、実践を通して探究したりする場に参加できる。これらは進路実現の礎にもなっている。

 また、島前高校は約半数が島外出身の生徒のため、彼らは「寮生活」を行っているのだが、この寮生活も島前高校の魅力だ。

島前高校の寮島前高校の寮では生徒たちで清掃などを行うことはもちろん、反省会を開いて運営を改善することもある

 島前高校の寮は、大部分が生徒たちの自主性によって運営されている。例えば、お金の使い方や備品の買い方といった生活面から、地域住民を招いたのみの市の企画、野菜の栽培まで全て生徒が自主的に行う。トラブルが起きたとしても、毎日生徒たち自身で反省会を開きながら運営を改善するなど、自主性を育める環境がある。もちろんハウスマスターという、生徒の主体性を盛り上げつつサポートするスタッフも配置しているから、生徒を海士町に送りだしている家族も安心だろう。

 もう1つ大きな魅力となっているのが、「修学旅行」だろう。島前高校では、修学旅行を海外研修と呼び、2年生の秋にシンガポールへ向かう。シンガポール大学の学生に対し、島前で行ってきた様々な魅力化プロジェクトを発表して、アイデアをもらうなどグループディスカッションを行うのだという。そのほか、希望者はブータンやロシアに行く「グローバル探究」というプロジェクトもあるというが、なぜ離島の高校生を海外で研修させるのだろうか。