まるで冒険家!西野朗監督のコトバ

 W杯の2ヵ月前。チームが断崖絶壁においつめられた状態で、いきなりそこに入れ替えで先頭に立つことになった西野日本代表監督。当初、結果は期待できないと、ほとんど注目されていませんでした。そこから、ここまで日本中が沸き立つようになるとは誰が想像していたでしょうか。

 西野監督の采配は、「勝負師」と言われることがあります。3戦目のポーランド戦で、フェアプレイポイントの差での決勝トーナメント進出をかけてのパス回し。ベルギー戦での、2点リードからのまだ攻め続けた姿勢。2−3で破れたのは冒険しすぎた感もありますが。その試合後、インタビューで西野監督はこう言いました。

◯「ベルギーとの差は、全てだと思うけど、わずかだと思う」

 これは、内容というよりも、文章のつくりかたが、冒険家です。

「人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な一歩だ」――アポロ11号ニール・アームストロング船長
「僕は頂上に着くとよく泣く。嬉しいからではない。それだけ苦しかったから泣くことができる」――栗城史多さん

全て←→わずか
小さな一歩←→偉大な一歩
嬉しいから←→苦しかったから

 これは、「伝え方の技術」でもあるのですが、正反対のコトバを入れると、コトバを強く印象づけることができるのです。

 これを知っていれば、誰であっても名言をつくることができます。

最高で金、最低でも金」――田村亮子選手
記録より、記憶に残る選手になりたい」――野球界の名言

 人生、突然何かの舞台に立たないといけないこともあるでしょう。そんなときにこの伝え方の技術「ギャップ法」を知っていれば、想像以上の強いコトバを残すことができるでしょう。

 西野監督のような天才は、ぱっとひらめいて話したのだと思います。でも私を含めて天才でない人であったとしても、技術を知っていれば強いコトバをつくることができるのです。

 

まだまだある!サムライブルーの名言

「僕は、割とたたかれることに感謝している部分、楽しんでいる部分があるんですけれど、そうじゃない人もいるから」
「みんなのことを、こんなに好きになれると思わなかったくらい、好きになった」
――本田圭佑選手
「死にものぐるいで戦っていきたいと思います」――乾貴士選手
「これがサッカー」――(ベルギー戦の敗戦で)香川真司選手
「できることなら、もう一回ベルギーとやりたい」――昌子源選手
「(ベルギーは、)ほんと笑っちゃうくらい強い」――酒井宏樹選手
「悔しいです。このチームで前に進みたかった」――原口元気選手
「(香川を見て)大空翼のようだった」――イタリア地元メディア

 今回は、日本代表の名言を見てきました。

 W杯は、まだまだこれから。海外選手の名言をおいかけてみます。

W杯日本代表が放った「名言」、『伝え方が9割』著者が解説

佐々木圭一(ささき・けいいち)
コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師 上智大学大学院を卒業後、97年大手広告会社に入社。後に伝説のクリエーター、リー・クロウのもと米国で2年間インターナショナルな仕事に従事。日本人初、米国の広告賞One Show Designでゴールド賞を獲得(Mr.Children)。カンヌ国際クリエイティブアワードでゴールド賞他計6つ獲得、など国内外55のアワードを入賞受賞。福岡県クリエイティブディレクター、シェラトンJAPANクリエイティブディレクター、などブランディング、広告CM制作多数twitter:@keiichisasaki Facebook:www.facebook.com/k1countryfree HP: www.ugokasu.co.jp