会社の方針では、社員全員に「ワークライフバランス」の重要性を提唱しています。しかし、管理職である自分自身ができていない現実から、部下を失望させてしまったのではないかと、自責の念にかられてしまったのです。そのため、部下との接し方にも今まで以上に気を遣い、以前のような「姉御肌タイプ」を発揮できない日々が続きました。

 では、どのように対応していればよかったのでしょうか。

仕事に対するモチベーションは
「動機要因」と「衛生要因」

 これまで、この『管理職養成講座』でも何度か、「個人の価値観」に関する事例を紹介してきましたが、今回は「仕事に対するモチベーション」に関する問題です。産業カウンセラーとして、管理職の方を対象としたカウンセリングの現場でもよく話題になります。

 一般的に、モチベーションとは、「やる気」「動機づけ」と言われています。ここで、有名な理論が、ハーズバーグの「動機づけ・衛生理論」です。仕事の満足・不満足に対する要因を分析した結果、「動機要因(満足要因)」(達成感、承認、仕事そのもの、責任)と、「衛生要因(不満足要因)」(賃金、上司との対人関係、作業条件)の二つの要因があると考えられています。

 Aさんは、上司であるTマネジャーとの人間関係といった「衛生要因」は満たされているものの、会話の中で、「動機要因」が足りていませんでした。

 実は、この「動機要因」について少し触れてみると、展開は変わります。では、具体的にどのようにするのか、会話から学んでいきましょう。