正しい生産性向上の方法とは?正しい生産性向上の方法とは? Photo:PIXTA

 働き方改革、人手不足への対応は、中小企業の経営者にとって頭が痛い問題です。AI(人工知能)の導入や徹底した機械化により生産性の向上を図り、労働環境を改善し、人手不足に対応しようと考える経営者も少なくありません。

 しかし生産性の向上にはルールがあり、また、もろ刃の剣の側面もあることに注意する必要があります。

顧客満足に影響を与えない
「非付加価値活動」から見直しを

小宮一慶・小宮コンサルタンツ代表小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 今、とても難しいのが人手不足への対応です。国が主導する働き方改革では、企業に対し、長時間労働の是正、休暇を取りやすい環境の整備を促しています。実際、人手不足の環境下では、労働環境が悪ければ人材が採用できないどころか社員が辞めてしまいます。

 労働環境の改善は経営者が最優先で取り組むべきことですが、単純に残業をゼロにしたりすれば、その分、人手を増やさなければならず、業績を悪化させるだけの話に終わってしまいます。そこで経営者がまず手を付けるべきことは生産性の向上ですが、それにはルールがあります。第一に行うべきことは、間接業務の見直しです。

 管理会計的な視点では、お客さまの満足に直接関わる業務を「付加価値活動」、それ以外の業務を「非付加価値活動」と位置づけています。経理や総務のような間接業務が非付加価値活動に該当します。間接業務を見直してコスト削減を徹底しても、お客さまの満足を低下させることにはなりません。