2月から3月中旬にかけて円は対ドルで反落した。その後若干戻しているものの、基調としての円安は年末にかけて持続とみており、それを踏まえた投資戦略が有効と考えている。
円安を見込む理由は二つある。一つは日米の景気モメンタムの違いだ。当社では2012年の米国の実質経済成長率について1~3月こそ昨年10~12月の反動で2.3%と低めにみているが、それ以降は2.5~3%の成長が続く見通しだ。
これに対して日本の成長率は1~3月が3.2%、4~6月が2.5%と復興需要やエコカー補助金復活に伴う自動車販売の好調から高めの伸びをみて いる。しかし、そうした要因の効果が薄らぐ7~9月、10~12月は1.7%、1.2%と回復ペース鈍化を見込んでおり、この景気モメンタムの差が円安と みる第一の理由である。
もう一つは金融政策の違いだ。08年のリーマンショック以降、米連邦準備制度理事会(FRB)は2度にわたる量的緩和策(QE)などを通じて市中 への資金供給を増加、バランスシートを膨らませた。一方、日本銀行はこの間にそれほど思い切った緩和措置を取らなかったため、07年末を100とした場 合、QE2が終了した11年6月末のFRBのバランスシートが313まで拡大したのに対し、日銀のそれは116にとどまった。この緩和スタンスの差が円高 ドル安をもたらしたとの指摘は多い。
しかし、最近は逆にFRBよりも日銀のほうが緩和に積極的だ。米国のガソリン小売り価格は1ガロン=4ドルに接近、昨年5月の高値に並ぶ水準と なっているが、その原因としてFRBの金融緩和姿勢を非難する声は大きい。そのため、最近はFRB関係者からこれ以上のバランスシート拡大に消極的な発言 が目立っている。