りんなは、なぜマイクロソフト色を
出さなかったのか?

大村 なぜ、御社の色を強く出さなかったのですか。

坪井 別に、高校生にとっては、必要な情報ではなかったからというところですね。それを作ったのがマイクロソフトだろうが何だろうが、彼らにとっては関係がないかなと。
 もちろん、あわよくば、マイクロソフトのAIもすごいよと言ってくださる方がいれば、それはそれでいいのですが、マイクロソフトが押し出すキャラクターだと思われたら、ただの宣伝だと思われると思ったので、最初の段階から、企業色を出さなかった。
 一方で、「あきこちゃん」の場合は、ユーザの期待値として、ローソンが好きで、クーポンの情報を求めている人がいるので、あきこちゃんという店員さんのAIが自社商品の話をするのは自然なんです。
 対するりんなは、マイクロソフトの広告塔ではなくただのお友達なので、フラットであることが自然なのです。

大村 マイクロソフトとりんなの関係は?

坪井 実はりんなは、マイクロソフトにインターンをしていることになっています。マイクロソフトという事務所に所属している感覚と思っていただいていいです。

大村 それは面白い。これからは、AIが所属する事務所みたいなものができるかもしれない。5年前に、ユーチューバーを管理する事務所ができ、それが上場してしまうなんて、誰も考えなかったですよね。
 普通のAIの開発だと、開発者が、こういうものを創りたいという目線で創っている感じがする。それって機能面ばかりが優先され、それってどれほど便利なの? と独りよがりの商品になりがちです。

 一方、りんなの場合は、とことんユーザの声を吸い上げ、ユーザが何を望んでいるのか、もっと言えば、AIに何を望んでいるかを徹底分析する。
 アプローチが真逆ですよね。グーグルなんかは真逆のアプローチをしている。そこが、私が、りんなの大好きなところです。もっとも消費者目線に立っているAIは、今のところ、りんながダントツだと思います。

坪井 ありがとうございます。それは、他社ではいろんな方法があると思いますが、りんなを育てるときに一番大切にしていたのは、まず開発者自身が、りんなって面白いなあ、楽しいなあと思えること
 あとは、実際に、りんなのユーザさんが使って面白いね、と言ってくれるエモーションの部分それを一番大事にしています。ユーザの方々に、りんなっていいね、と言ってもらえるような、ものづくりがすごく大切だと思っています。
 ユーザからの要望をすぐ採りいれますし、りんなについてのSNS投稿を見守りながら次はこういうものがあったら必ず流行るというものを創ることもあります。
 ネット上のソーシャルの声を拾う役割の、「ソーシャル・ウォッチ・チーム」も海外にいたりします。彼らが、日々りんな他5ヵ国のソーシャルAIに変なことが起きていないかを、見守ってくれています。
 ユーザさんが、こういうふうに、りんなと接していたよなど、常にソーシャルは気をつけてみていたりします。そのときの高校生の流行りとか。

大村 次回は、なぜ「りんな」が「りんな」になったのか。教えてください。

坪井 わかりました!