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デジタル大変革時代 部品メーカーの生きる道

ありえないような未来像にこそ
明日の危機とチャンスが潜んでいる

PwCコンサルティング
【第4回】 2018年8月31日
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ポイント3「実現性よりもリスクを重視すること」

 自動車のEV化などの影響を受け、部品の激減・消滅を危惧する機械系部品メーカー、VHS、CD、LD、MDといったAV機器の衰退を経験してきた電機系部品メーカーなど多くの部品メーカーが、未来創造活動の目的の1つとして、企業の存続を掲げている。

 この目的を踏まえると、最も注視すべきなのは、実現可能性は高いものの自社の存続との関連性が薄い未来ではなく、実現可能性は低くても万が一それが実現した場合、今の自社のままでは存在価値がなくなり、淘汰されてしまう未来である。

 実現可能性が高い未来であっても、自社が変化することなく生き残れる未来であれば、この目的に関してやるべきことはない。しかし、実現可能性が低い未来であっても、今の自社では生き残れない未来であれば、社会に価値を提供し続けることができるよう、自社のとるべきアクションを考えなければならない。言うまでもなく、未来シーンの発案は単に好奇心を満たすために行っている取り組みではなく、自分たちがやるべきアクションを見出すために行っているものである。やるべきアクションにつながる未来こそ自分たちにとって重要な未来であり、この目的で未来を考える場合は実現可能性の高さで重要度が決まらないということである。

 しかし残念なことに、実現可能性が高いと考えられる未来を描き、自社に直接関わるようなことや、自社ができることは特にないと言っている部品メーカーの方々は少なくない。「自社の存続」を至上命題とするのなら、これでは不十分だ。実現可能性には関係なく、自社の存続を脅かしかねない最悪の未来シーンもしっかりとイメージし、それに備えた対応策を考えるべきだ。なお、売上向上などの目的で行われる新規事業開発などでは当然実現性を重視すべきであり、あくまでも目的によるのである。

 以上、今回は未来シーンを発案する際の3つのポイントについて説明した。これらの検討を行う際、発案する未来シーンに関係するシーンの体験や先進的なアイデアを持つ人々とのディスカッションは非常に有効だ。ぜひ会社の外に出て検討を進めてほしい。そして、実現可能性は低くても、成立性があり、今のままの自社では消滅するリスクのある未来シーンこそ、より具体的に描いておきたい。

 その世の中のからくりを見極めた上で、自社の新たな存在価値を考え尽くす。予測通りの世界にならなかったとしても、新たな価値を提供し、存続・成長していくことができるのなら、目的は達成されたと言えるのではないだろうか。

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日本のモノづくりを支えてきた部品メーカーが、デジタル大変革時代に岐路に立たされている。これまでの製品メーカーからの発注を待つ受け身の姿勢を変え、自ら未来を想像する発想の転換と実行態勢の構築が求められるが、具体的な方法論が見いだせない。この状況を打破するためのヒントを提供する。

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