1975年に「秘密戦隊ゴレンジャー」が放送されてから実に43年もの間、日本で愛され続けている東映の特撮ドラマ「スーパー戦隊」シリーズ。その人気は海外にも及び、各国でローカライズ作品も数多く生まれ、世界の人々がこれまで持っていたヒーロー像を根底から覆してきた。何故、スーパー戦隊はロングセラーとして世界に愛されるのか、特撮研究家の氷川竜介氏に聞いた。(清談社 岡田光雄)
ローカライズ版として
米国から世界に普及
1993年、日本のスーパー戦隊シリーズを英語版にローカライズした『パワーレンジャー』が誕生した。独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)による市場調査では、2012年時点でのパワーレンジャー関連の米市場規模は367億円にも上ると報告されている。北米で最も成功した日本発コンテンツの一つだ。
パワーレンジャーのローカライズの特色は、ドラマ部分はアメリカ人の俳優を使って撮り直し、特撮や戦闘シーンは日本版のシーンをそのまま使う(一部は撮り足している)という点だ。アメリカらしいドタバタ要素を盛り込み、ドラマ部分はハイスクールものにアレンジされている。
「米映画プロデューサーのハイム・サバンという人物が日本を訪れた際、スーパー戦隊シリーズを視聴して興味を持ち、1985年に東映と交渉して国際放映権(アジア地域を除く)を入手しました。その後、アメリカ仕様にローカライズしてヒットさせ、『パワーレンジャー』として世界に浸透させていったのです」(氷川竜介氏、以下同)
昨年、アメリカではパワーレンジャーが映画化され、日本や中国でも上映されている。興行成績はイマイチだった印象だが、いまだにアメリカのテレビでは、日本版のシリーズをもとにした新作が作られ続けているのだ。