わたしもサーフィンが趣味で、ハワイでは毎日のように楽しんでいるほど大好きです。でも、もし若い頃にサーフショップの店員になっていたら、確実にサーフィンが嫌いになっていたと思います。なぜなら、サーフィンが好きな人が第一に考えるのは、「波がいい時にすぐ海へ行きたい」「そのために波のあるところの近くに住みたい」ということだから。

 サーフショップはたしかに海の近くにあります。でも、店員になってしまった以上、どんなにいい波がきても営業時間中に店を抜け出すことはできません。売上を伸ばすためには好きでもないメーカーのサーフボードを売らなければいけない場面も出てくるでしょう。なにより生活の糧を得るためにサーフィンを我慢して、サーフィンのできる環境の中で店にいなければいけないのです。

 つまり彼は、好きなことを仕事にするという手近な選択肢を手にしてしまったことで、逆に好きなことから遠のいてしまったのです。

 サーフィンが好きでライフスタイルの中心に置きたいのなら、まず考えるべきなのは、いい波が来た時にすぐに海に行ける自由さと、海の近くに住まいを構え、都市部へ出勤しなくてもいい生活をどう組み立てていくか。手に入れたいライフスタイルを実現するための仕事を探すこと。一番避けるべきなのは、時間給的な仕事です。

 また、「旅行が好きだから旅行代理店を第一志望に面接を受けています」という就活生と会うこともあります。この発想もまた短絡的すぎて、わたしは理解できません。たしかに旅行代理店に就職し、ツアーコンダクターになれば旅行はできます。

 ただ、ツアーに参加する人たちの多くは旅慣れないお客さんたちです。彼らを通り一遍の観光地へと案内する仕事が、旅好きを満足させるとは思えません。むしろ、仕事でする決まりきったツアーを重ねるうち、旅そのものを嫌いになってしまうのではないでしょうか。