インバウンドバブル
道頓堀の一等地にあるドラッグストアの2階で、曲に合わせて踊っている女性を目撃。中国人向けに中国語で商品名が書かれた宣伝ボードを振っていた Photo by Izuru Kato

 台風21号が近畿圏等に甚大な被害をもたらした数日後、出張で大阪に行った。梅田や堂島では大きな街路樹が根元から倒れていた。難波では古い木造店舗がめちゃくちゃに壊れていた。通天閣近くの新世界には吹き飛ばされて骨格だけになった看板が多数あった。

 関西国際空港が水没等により機能していなかったため、外国、特にアジアからの観光客は大幅に減少していた。近年は大混雑が常態化していた黒門市場では、手持ち無沙汰の店員が散見された。

 関空が全面的に復旧すれば外国からの観光客はまた戻ってくるだろう。とはいえ、あらためて大阪の街を散策してみると、ここ最近の「インバウンドバブル」の過熱ぶりは相当なところにまできているように感じられた。

 ほんのちょっとした空き地でも、インバウンド観光客向けのホテルを建設する動きが激しい。また、心斎橋から難波にかけてのドラッグストアの数は異常だ。グリコの看板がある道頓堀の橋に面したドラッグストアでは、キャンペーンガールが2階のバルコニーで曲に合わせて踊っていた。橋にいる人々に見えるように彼女が振っているボードには「合利他命」(アリナミン)と書かれていた。

 また、前述の黒門市場での魚介類や牛肉の多くはインバウンド観光客価格になっている。人気店の寿司パックの中心価格帯は3000円あたりで、4800~5800円のパックが昨年見たときよりも増えていた。お得な品に敏感な大阪のおばちゃんたちは買いに来ていなかった。