地方銀行随一の収益性を誇ったスルガ銀行は、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」に絡む不正融資問題でメッキが剥げた。9月7日に発表された第三者委員会の調査報告書では、不動産投資向け融資での「無法地帯」(大手地銀関係者)ぶりが、白日の下にさらされている。
この分野は近年のスルガ銀の稼ぎ頭だったが、裏では審査を通すために行員が不動産業者に数字の偽装を依頼したり、ノルマ必達に向けて営業現場ではパワハラが横行したりした。「数字ができないならビルから飛び降りろ」など、公共性を重んじる銀行とは思えない罵詈雑言が飛び交っていたという。
さらに、「情報の断絶があり現場の問題が経営層に上がらない」(中村直人・第三者委員会委員長)といったガバナンスの機能不全も露呈。収益性の高さ故、創業家を中心とする経営陣は暴走する営業部隊を放任していたわけだ。
もっとも、不正融資の件数や関与した行員数はいまだ不明瞭で、11月発表の中間決算をめどに、自己査定を急いでいる。
資本拡充も視野に入る
次なる焦点は、査定後に貸し倒れに備えて積み上げる引当金がどれだけ増加するかだ。