2点目は、”研修で学んだことをその場でアクションに移させる”ことです。仮想の現場と見立てて行う委員会活動やグループ学習で、アウトプットを求める取り組みの紹介がありました。

 3点目は、”研修の前行程部門と後行程部門との内容的な接続を意識する”ことです。本事例の主管部門である医薬教育部門は、前行程の人事部の研修内容を活かす形式で研修が組まれています。人事部による研修と部門の専門教育が分断されずに、双方の意思でしっかりと接続され、確実なアクションに繋げる事例について紹介がありました。

 そもそも、研修転移促進の目的は、研修の学びが現場で促進されるだけでなく、それが持続(Maintenance)していくことが大切だということです。学習したことを1回だけ実行に移しても、それは研修転移とは言えません。正しいアクションが現場で継続的に行われて初めてそう言えるのです。継続的に参加者のアクションが行われるには、職場でその行動を促す上で必要な、教え合う文化が組織に根付いているかがとても大切なポイントになります。

「教え合う文化」を築く上で
大切な3つのポイント

 では、教え合う文化を築いていくためにはどのようなアプローチをしたらよいでしょう?ここでは、3つのアプローチをご紹介いたします。

 1つ目は、全社の人的リソースを活用したOJTを取り入れることです。本事例におけるメンターシップ制度と関係します。若手育成の役割範疇を自部署だけに限定するのではなく、会社全体のリソースを最大限に活用し、育成を面で捉えることで教え合う文化を築こうとする取り組みです。   

 2つ目は、マネージャー同士の振り返りの強化です。360度フィードバックの活用については、マネージャー同士が育成と正面から向き合う場には有効です。また、彼らが相互に教え合う関係性を構築できるようにするのがポイントです。これらにより、部下に対する育成マインドも少しずつ強化されていきます。

 3つ目は、共通言語化の促進です。アプローチとしては、研修を内製化することで、社員同士が議論する場を意図して設計します。そこで、社内講師が共通言語にしたい言葉を語り、参加する社員がそれをまた職場で語ることで共通言語化しやすく、その先の教え合う文化に昇華させやすくなるのです。
 
 以上、2回にわたって、事例を紹介してまいりましたが、いかがでしたでしょうか?研修転移を戦略的に促進し、教え合う文化を組織の基盤にしたい、そんな企業の皆様方にとって、本事例は大変参考になると思います。