大鵬薬品:活躍している先輩が「教え上手」になれば研修の効率は上がる大鵬薬品工業のグループ学習の風景

大鵬薬品では、所属支店の垣根を越え、若手の社員が憧れの社員の仕事を近くで見て学べる機会を設けている。若手が先輩の仕事ぶりを間近に見ることができるというだけでなく、先輩は自分の教え方を見つめ直すきっかけを得られているという。全社の人的リソースを最大限に活用するこの試みについて、前回に引き続き、講師ビジョン株式会社の島村公俊氏が同社医薬教育部の原田直尚部長に聞いた。(講師ビジョン株式会社 代表取締役 島村公俊、構成/片瀬京子)

3年目以降の若手MRが経験する
メンターシップ制度

島村 前回は医薬教育部での新人研修について伺いましたが、3年ほどMRとしてキャリアを積んだ社員に対してもユニークな研修制度を設けているそうですね。

原田 この部署ができた時、当時の本部長が若いMRの仕事に同行した際、そのMRが「仕事のできる先輩に同行してみたい」と言っていたというのを聞いたことがキッカケで構想がスタートしました。その同行をメンターシッププログラムとして制度化したのは3年前で、今年で4年目になります。

島村 確かに、入社して3年が経過すると色々な壁にぶつかり、キャリアについても色々と模索するタイミングです。どのような興味、関心があるのでしょうか。

原田 たとえば地方支店で3年ほど経験を積むと、がんセンターのような専門病院や大学病院の現場を知りたいという興味や、苦労している製品で優秀な成績を上げている先輩から具体的に学びたいことが出てきます。そこで、支店を越えてニーズに合った者同士をマッチングするようにしたのです。

島村 若手の学びたいという意欲を消さないようにされていることがよくわかります。ちなみに、誰が誰に同行するかはどうやって決めるのですか。

原田 2つの方法があります。1つは、課題を持っている社員にはそれを申請書に書いてもらい、こちらでマッチングをするという方法です。もう1つは指名制です。その年にエリアの支店長から推薦されたメンターのリストを公開し、その中から同行したいメンターを指名するというものです。