海外は中古不動産の流通が盛んで
建物の価値が下がらないことに着眼

 では、海外不動産を使ったスキームが「多額の」減価償却費を計上できるのはなぜなのだろうか。

 日本の中古不動産の場合、土地に価値がある一方で建物にはほとんど価値がない。減価償却費は建物に対してのものだから、たいして期待できない。これに対して海外の場合は、中古不動産の流通が盛んなため、建物の価値はそれほど下がらない。そのため、多額の減価償却費を計上できるというわけだ。

 しかも、値が下がらずに売却できるため、投資しやすい。当然、多額の減価償却を行っているため、値が下がらなければ利益(譲渡所得)が生じてしまうが、保有期間が5年超であれば長期譲渡として約20%の税率で済むため、税率差を使った節税を行うこともできるのだ。

 こうした現状を受けて、会計検査院は海外中古建物に「簡便法」をそのまま適用することに疑問を呈しているというわけだ。

 では、会計検査院の指摘を具体的に見ていこう。

 まず、日本では住宅流通戸数の内、中古住宅の流通が14.7%にすぎないのに対し、米国では83.1%に上っている。そして日本の住宅が平均約32年で滅失するのに対し、米国は約66年、英国は約80年となっていて、中古住宅と新築住宅の価格差が小さい状況であるとする。

 その上で、「国外に所在する中古等建物については、簡便法により算定された耐用年数が建物の実際の使用期間に適合していない恐れがあると認められる」と述べている。つまり、耐用年数が実態に合わず、短すぎると指摘しているのだ。

 こうした指摘を会計検査院がしたとなると、税制改正される可能性が高まったといえる。というのも、過去の事例を見ると、指摘後にほぼ改正されているからだ。いくつか例を見てみよう。