インド洋に浮かぶ小さな群島国家モルディブは通常あまり注目されないが、戦略的な要衝にあるため極めて重要な国だ。23日の大統領選の結果はアジアの安全保障や民主主義にとって朗報となった。大統領選でベテラン議員のイブラヒム・モハメド・ソリ氏と争った現職アブドラ・ヤミーン氏は24日、敗北を認めた。有権者の約90%が投票した結果、民主主義の再建と欧米との関係改善を掲げたソリ氏が58%の票を獲得した。同氏は中国からの投資に強硬路線を取ることも公約していた。モルディブでは10年にわたり民主化に向けた努力が続けられていたが、ヤミーン氏はそれを台無しにした。今年に入って非常事態宣言を発令。司法関係者を拘束し、抗議行動を取り締まった。かねてモルディブと友好関係にある米国やインドはヤミーン氏を批判した。一方で中国は同氏を擁護した。中国に有利な条件で公共工事に投資する習近平国家主席の「一帯一路」構想をヤミーン氏が支持したからだ。主要なシーレーン(海上輸送路)に近いモルディブは戦略的な価値も高い。