アメリカを本拠とする大手会計事務所・プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が、北京オリンピックの「国別メダル獲得数」の予想を行なった。

 1位は中国で88個。以下、2位アメリカ=87個、3位ロシア=79個、4位ドイツ=47個、5位オーストラリア=41個と続き、6位が日本。34個のメダルを獲得すると予想している。

 4年前のアテネオリンピックの結果は、1位アメリカ=102個、2位ロシア=92個、3位中国=63個、4位オーストラリア・ドイツ=49個、6位日本=37個。今回の北京オリンピックでは、開催国の中国が躍進し、アメリカとロシアが減少、日本は順位こそ変わらないがメダル数は微減、とPwCは読んでいる。

 オリンピック開催直前になると、こうした「国別メダル獲得予想」がマスメディアを賑わす。日本でいえば、まずオリンピック日本選手団長がメダル獲得目標数を発表する。過去の記録や世界選手権の成績、世界ランキングなどをチェックしたうえで、獲得の可能性がある種目をすべて数に組み込む希望的観測だ。続いてテレビや新聞、雑誌なども独自に予想。選手団長の見解に準じた楽観的予想もあれば、シニカルな見方をした悲観的予想もある。

 観戦者はそうしたデータをなんとなく頭に入れ、自分なりの予想を加えて競技を見る。期待通りの結果になれば喜び、期待外れに終わればガックリ。これがオリンピック恒例の楽しみ方になっている。

 それをPwCは他に先駆けて行なった。今やオリンピックは世界規模の巨大イベントであり大きな経済効果を生む。アメリカの一会計事務所に留まらず、世界149カ国にネットワークを持つ経営コンサルタントであり、世界4大監査法人のひとつに数えられるPwCとしては、各国のメダル獲得予想も大事な業務のひとつなのだろう。

 また、日本人に限らず、どの国の人たちもメダル獲得競争に注目しているということでもある。原油や食糧の高騰など暗い話題が世界を覆っている今、オリンピックのメダル獲得数の話題はひとつの息抜きにはなる。PwCが真面目に予想するのはそうした意味合いもあるはずだ。

「人口比」から見れば
メダリストは“740万人に1人”

 とはいえ単純に代表選手の予選記録だけを見て、各国のメダル獲得数を算出するのは問題がある。統計学上、いくつかの“補正”が必要になるのだ。