二つ目の柱となるのは、プルームテックに続いて、今年末から来年初めにかけて投入を予定する高温加熱タイプの新製品だ。
高温加熱タイプは、300度程度の温度帯で葉タバコを熱するもので、吸い応えは紙巻きたばこに近いものになる。
アイコスとグローが高温加熱タイプなのに対し、プルームテックは、低温加熱タイプと呼ばれる、常温帯で熱する製品だ。においが少なく、取り扱いやすいというメリットはあるものの、吸い応えに難がある。
つまり、他社製品とガチンコで戦う武器として投入されるのが、高温加熱タイプの新製品だ。「投資家周りには年内発売を計画していると説明しているようだ」(関係者)との声もあり、早期投入へ向けて準備が進む。
さらに三つ目の柱がある。プルームテックの進化版となる製品だ。低温加熱タイプの良さを残しつつ、プルームテックの弱点である吸い応えを強化した。葉タバコが詰まったたばこポッドは生産を共通化し、デバイスやリキッド部分を改良するという。
紙巻きたばこにより近い高温加熱タイプ、低温でありながら吸い応えのあるプルームテック進化版、においが少なく利便性も高い現行のプルームテックによる「3本の矢」で、猛攻を仕掛けるという戦略が明確になった。
「ポートフォリオがあれば、打つ手も増える。ほぼゼロスタートの現状から、まずは攻めの姿勢でいく」と寺畠社長の鼻息は荒い。
一転守勢のアイコス
組織体制変更で加熱式シフト加速
迎え撃つPMIだが、加熱式たばこで断トツのシェアを誇るトップとしての余裕よりも、危機感がはるかに勝る。
それまで紙巻きたばこに対して加熱式たばこで攻める側にあったが、今度は逆に加熱式たばこによる他社の猛攻から守る側になるからだ。しかも、アイコスは既に日本で300万台を超えるデバイスを販売しており、成長の勢いは弱まらざるを得ない。
1月に就任したシェリー・ゴー日本法人社長が指揮を執り、「連日深夜までアイコスの新たな施策を検討している」(PMI関係者)。
「今年はまさに、新規顧客の獲得と既存客のつなぎ止めに注力する正念場だ」とアイコスなどのマーケティングを担当する坂牧真美RRPディレクターは言う。