にわかに海外のM&Aを活発化させているアサヒグループ。昨年基盤を築いたオセアニアに続く、新たなターゲットはどこか。

アサヒグループホールディングス社長 泉谷直木<br />M&Aは東南アジアに集中<br />海外はあくまで“面”で攻略Photo by Masato Kato

──2011年度決算の総括と、今期の業績見通しはどうか。

 震災被害で減収となったものの、営業利益は1072億円と過去最高益となった。今期は、久しぶりに酒類事業でも増収を見込むほか、前期に統合したオセアニア事業の利益貢献が始まる。

──オセアニアでの投資は一巡した。次のM&Aの基本戦略は。

 同一エリアに集中投資し、工場や物流設備などの拠点のシナジーを出す、点ではなく面での戦略が基本。次は11年に買収したマレーシア飲料第2位のペルマニス社を拠点に、東南アジアに集中する。

 だが、ほぼ単一市場で指揮命令系統も一つで済むオセアニアと異なり、東南アジアは距離が近くとも国により競争環境がすべて違う。どの国を選ぶかが重要だし、より高度な経営が求められるだろう。

──欧州市場をどうみているか。

 欧州の消費市場は当面回復しないとみている。ファンドが売り手を探す大型案件は、数社による入札合戦になり値段もつり上がる。魅力は感じない。入札になる前に、先方に事業パートナーとして、共感してもらえる事業プランを示し、相対で交渉することを志向していく。海外事業の売り上げを伸ばすことありきで、その結果本体が損失を出すようでは全く意味がないと考えている。