ウォールストリートの相場格言で、「Sell in May And Go Away」(5月に売ってどこかへ行け)は有名である。しかしここ数年は、日本の相場にこそ、この格言が生きているように思える。特に、2000年、06年、10年はこの典型である。日経平均株価は、いずれも4月に高値をマークし、5月に急落してトレンド転換を余儀なくされている。
高値からの下落率は、2000年がITバブルの崩壊もあって23.2%、06年19.0%、10年16.8%と大きい。グラフが煩雑になるので割愛したが、実は04年も13.6%、05年も9.5%と、同様な軌跡をたどっている。
「4月高値・5月転換の月」となる要因は何か。まず、需給要因では、国内機関投資家の決算対策売りが3月中に終了し、4月新年度入りとともに、積極的な売り手が消えることが挙げられる。したがって、外国人投資家の積極姿勢が継続すれば、自然に株価に上昇圧力が強まる。
その高値形成後、4月中はもちあい相場となるケースが多いが、5月に相場は急転換する。最大の要因は、日本株の買い主体である外国人投資家が、スタンスを変更することが多いためだ。
ヘッジファンドの多くは、11月本決算・5月中間決算を採用している。5月は、半期決算をにらんで、積み上げたポジション(取引残高)のアンワインド(巻き戻し)を行う時期なのだ。そして、彼らはポートフォリオを修正・再構築し、下期の相場に備える。