期待事業も尻すぼみ
目標未達が常態化で
自信喪失に

 13年に策定した中期経営計画では、海外で稼げる成長分野としてスマートエネルギーを位置付け、リチウムイオン電池などに重点投資した。

 だが、結果的には、車載電池のパートナーだった日産自動車の手のひら返しもあって、一部を残して撤退に追い込まれた。

 世界の通信インフラの3強(ノキア、エリクソン、華為技術〈ファーウェイ〉)による寡占状態を打開するための切り札として期待されたSDN(ソフトウエアでネットワーク上のデータの流れを効率的に制御する技術)も不発に終わった。「当初は先行していたが、競合に技術で追い付かれ、優位性はさほどなくなってしまった」(NEC中堅幹部)ためだ。

 こうした紆余曲折を経て、気が付けば海外売上高比率26%というドメスティック企業が出来上がっていた。

 NEC会長の遠藤信博氏が社長時代(10~15年度)に、早期実現を公言していた海外売上高比率50%とは比ぶべくもない。

 17年度の売上高は、ピーク時の2000年から半減。時価総額(7791億円)は約5分の1に縮小した。2000年当時は時価総額で格下だった富士通や日立に逆転され、いまや、それぞれに1.7倍、4.8倍という大差をつけられている。

 さらに言えば、NECの時価総額は、将来性を見限って分離、売却した半導体事業を引き継いだルネサスエレクトロニクスにも負けている。ルネサスは一時期、経営危機にひんして親会社のNECに泣き付く問題児だったことを考えれば皮肉としかいいようがない。

 NECが陥っているのは、経営規模や稼ぐ力が衰える負のスパイラルだけではない。

 事業創出に失敗し続けたことで、「負け癖がついてしまった」(NEC関係者)というのだ。

 下図を見てほしい。過去3回の中期経営計画がいずれも、売上高、営業利益率共に大幅な未達となっている。目標未達成が常態化し、「皆がリスクを取るのをためらうようになった。やり遂げる自信が失われている」(NEC幹部)というから事態は深刻だ。