しかし、過剰な期待は禁物である。共和党で中間選挙を勝ち抜く議員には、トランプ大統領に忠誠を誓った議員が多く含まれ得る。そうなれば、トランプ大統領に対する共和党内からの反乱は、そう簡単には広がらないだろう。実際に、多くの共和党議員たちは、トランプ大統領の熱狂的な支持者に頼り、何とか議席を維持しようとしている。むしろ共和党で苦戦を強いられているのは、トランプ大統領と距離を置く議員である。

懸念される民主党との「保護主義共鳴」
USMCAの行方も左右する?

 より懸念されるのは、議会で勢力を増すであろう民主党との共鳴だ。議会での投票行動を分析すると、民主党の議員は共和党の議員よりも保護主義的な傾向が強い。トランプ大統領をあらゆる側面で妨害するといっても、こと通商政策に限っては、保護主義の「手ぬるさ」を批判する方向に動きそうだ。トランプ大統領と議会民主党が保護主義を競い合えば、貿易摩擦の小康状態は束の間の幻となる。

 注目されるのが、USMCAの議会承認である。3ヵ国による署名が終われば、USMCAは各国での承認作業に移る。米国では議会による承認が必要であり、民主党が中間選挙で議会の多数党となった場合には、USMCAの行方を左右する力を持ち得る。

 USMCAがとん挫した場合には、トランプ大統領はNAFTAからの撤退を決断しかねない。もし民主党が「反トランプ」の一念でUSMCAの承認を渋れば、トランプ大統領よりも保護主義的な立場をとる結果になる。

 その一方で、中国との関係においては、議会の民主党と共和党が一致して、トランプ大統領の強硬な政策を支持する可能性がある。

 その兆候はある。10月のはじめに米議会では、対中政策に関する2つの法案の審議が進められていた。1つは、アジア地域におけるインフラ投資を支援する法案。そしてもう1つは、アジア諸国等による防衛力強化に協力するための法案である。いずれの法案も、念頭に置かれているのは、中国による影響力の広がりへの対抗だ。

 10月のはじめと言えば、最高裁判事の指名を巡り、共和党と民主党との党派対立が最高潮に達していた時期である。にもかかわらず、トランプ大統領も賛同する2つの対中法案に関しては、超党派の協力で審議が進められた。昨今の米国では、稀有な現象である。

 中間選挙後の2年間は、2020年の大統領選挙に向けて、民主党が体制を整えていく時期にあたる。トランプ大統領の保護主義に対して、民主党がどのような態度を取るかは、2020年の大統領選挙後の米国の通商政策を占ううえでも見逃せない。