その原動力となったのは、「徹底的な業務の見える化と改善活動」(平良一恵・業務編成部兼第一事業部長)だ。
同社では、一人一人の業務が漏れなく全て書き出され、仕事の最小単位(アクティビティー単位)に分けられて、その処理時間が出社から退社に至るまで、リアルタイムで計測される。それを基にスタッフごと、チーム(受託先)ごとに評価が下される徹底ぶりだ。
ECOまるマネジメントと名付けられたこの取り組みは、RPAに先立ち、13年に始まっている。こうした業務の見える化、効率化や改善の積み重ねという土壌があったからこそ、いち早くRPA導入が可能だったのである。
ある中堅企業のRPA担当者は検討会議の席上、「銀行のような成果はすぐ出ないのか」と経営幹部に厳しく問い詰められた。
RPAブームの裏では、RPAに「魔法のツール」のごとき期待を掛ける向きもある。
だが、むろんそうではない。「RPAソフトウエアそのものの効果よりも、システム全体としての効果や、業務の見える化、改善活動などによる効果の方が大きい」(西村泰洋・富士通フィールドイノベーション本部金融FI統括部長)。一足飛びに成果を手にできるほど甘くはないのである。