経営者が極限まで追いつめられれば
生産性向上の道が開ける

 この窮状をさらに悪化させているのが、現行の「移民政策」だ。

 今年1月に厚生労働省が発表した、2017年10月末時点の外国人労働者数は127万8670人。2012年は約65万人だったので5年で倍に膨れ上がっている。これを牽引するのが、外国人技能実習生(25万7788人)と、今や外食やコンビニで欠かせない外国人留学生(25万9604人)である。ともに2割増えている。

 つまり、だだでさえ高齢労働者が溢れているところへ、「留学生」や「実習生」という名の移民が既に大量に流れ込んでいることで労働の価値が上がらず、日本の労働者はいつまでたっても「忙しいのに低賃金」という悪循環から脱却することができないのだ。

 この「悪循環」を断ち切って、「低賃金労働」を前提としたビジネスモデルを根底から崩壊させるのが、実は「人手不足」である。

 いくら探し回っても安くこき使える労働者が確保できないので、経営者はリストラを余儀なくされる。そこから、さらに追い詰められれば、生き残るために死に物狂いで生産性向上をしなくてはいけない。つまり、ビジネスモデルを根幹から見直すという力学が働く。

 しかし、この社会のイノベーションを思いっきり邪魔する政策がある。それが「移民政策」だ。

 なぜ政府がこのタイミングで、焦って外国人労働者の受け入れを進めようとしているのかというと、あと数年で高齢労働者が一気に市場から消えるからだ。つまり、これまで低賃金労働を担っていた高齢労働者の代わりを、実習生や留学生だけではなく、本格的な「移民」にやらせようというのがこの政策の本質なのだ。

 こうなると、多様性だ、オープンだと呑気なことは言ってられなくなる。経営者は追いつめられないので、現状のままのシステムが続く。賃金は上がらず、過重労働が続くのだ。むしろ、若者の数が減っていく中で、安い賃金で働く有能な外国人労働者が増えるので、日本の若い労働者はいま以上に苦境に陥るはずだ。そうなれば、貧しい若者の中から、ネオナチのような移民排斥運動が持ち上がる可能性もある。