賃金上昇は長らく米企業にとって根強い問題だったが、状況は一段と切迫しつつある。労働参加率が上昇しなければ、失業率は3.4%に低下していたところだ。最大のニュースは、労働市場の逼迫が賃金に及ぼしている影響だ。平均時給は前年同月比3.1%増と、9月の2.8%増を上回り、2009年初め以来の大幅な伸びとなった。賃金の著しい上昇は、企業が労働力の確保にしのぎを削る中で今後も止まりそうにない。米ネット通販大手アマゾン・ドット・コムは1日、米従業員の最低時給を15ドル(約1700円)に引き上げた。米小売り大手ウォルマートやターゲットは今年に入り最低賃金を引き上げたが、それでも時給は安く、アマゾンの動きは圧力となる。実際、小売り、製造、非管理職の従業員の平均時給は前年同月比4.6%増と、1998年終盤以来の大幅増を記録した。こうした従業員を抱える企業は通常、従業員数が多く、低い利益率で操業している。つまり、賃金上昇は利益率に大きな足かせとなりかねない。レストランやホテル、小売店などがその典型だ。
米賃金上昇、売り手市場の到来か
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