週刊ダイヤモンド2018年11月10日号は「変われぬ東芝 変わる日立」です。本誌では、両社の創業期まで遡り、どのような浮き沈みの末に現在の差に結びついたのかを明らかにしています。週刊ダイヤモンド編集部では、歴代の担当記者が両社の経営戦略や業績を取材してきました。そこで、今週の特集に合わせて、両社において「中年期」と位置付けられる2000年代中頃以降に社長に君臨したトップのインタビューをシリーズでお届けします。第3回は週刊ダイヤモンド2014年7月12日号「復活日立~充電メガ再編を生き残れるか~」で掲載した中西宏明氏のインタビューの拡大版です。同氏は2010年から2014年に社長、14年からは会長を務め、現在は経済団体連合会会長に就任しています。(経歴、年齢は全て掲載当時のもの)

──日立の復活というテーマで特集を企画しました。
復活というのは違うな。昔に戻ることでは、次の成長はないから。
そうは言っても、昔稼いだくらいには稼げるようになった。リカバリー(回復)はできた。風邪は治った。
──平時に戻ったと。
そう。ようやっと回復しただけ。いわゆる危機は脱して、絶対安静の部屋からは出られた。
──中期経営計画では、すべての事業が利益率も海外比率も巡航速度で上げる目標になっている。中西さんは、事業整理をするなどソリッドにした体制にした。今は、日立の個性を生かしながら、コアコンピタンスに投資を集中させたり、資産を入れ替えたりというステージだと思います。
それはおっしゃる通り。
──でも、すべての事業を伸ばすという計画自体に戦略性を感じません。
以前にも見たことがある計画に見えるんだな。