不公正貿易慣行に関する通商法301条に基づき差別関税の強烈な圧力をかけられたのは中国が初めてではない。日米摩擦の時も同じだった。

 1980年代後半、米国の対日貿易赤字が500億ドルを超え、米国の赤字の40%を超えた時、米国は301条を援用した。日本を「異質な国」と批判し、対日差別法案も連日のごとく議会に提案された。米国の圧力の下、日本は市場開放に精力的に取り組み、実際の関税賦課を免れた。

 当時から中国の友人たちは、自分たちは米国の圧力に屈することはしないと強調していたが、果たしてどうだろうか。

 今の米中貿易戦争は、3500億ドルに達する米国の対中貿易赤字を削減すれば解決するというものではなく、対立の根はもっと深いものだ。

 根源は多くの人が論じるようにハイテクの覇権争いなのだろう。米国にとっては、中国が知的財産権を侵害し国家の不正な補助金の下で、将来的にハイテク技術と製品の分野で米国に代わって世界の覇権を取ろうとするのを防ぐという意味合いが強いのだろう。

貿易戦争は中国譲歩で収束に
成長鈍化は体制不安定化につながる

 貿易戦争に限れば、今年11月末の米中首脳会談を経て収拾されることになると思う。

 昨今の米中双方の動きからも、貿易戦争は収拾の方向に向けて米中間でかじが切られている感がある。米中首脳電話会談、ブエノスアイレスでのG20の際の米中首脳会談開催の合意、延期されてきた外交・安全保障対話の開催など数多くの兆候が感じ取られる。

 米中の経済的体力を比べれば圧倒的に米国が強いからだ。

 中国の報復関税実施が国内の物価高や農産品の輸出低下を招いたところで、今米国経済は好況下にあり、来年以降、景気は下降する可能性が高いにしても、生産や消費などの落ち込みは景気循環の幅にとどまるだろう。

 それに比べ中国の株式市場や為替相場は貿易戦争の影響を大きく受けるだろうし、確かに中国の国内消費は飛躍的に拡大したとはいえ、GDPの中で輸出が占める比重はまだ高い。

 米国による制裁関税賦課が現在の規模でとどまるのであればまだしも、来年になって、さらに制裁関税の範囲と税率が拡大されれば深刻な影響を受けるだろう。