こよなく愛するスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」に消費者がもう高い金額を払わなくなったとすれば、コスト上昇分を価格に転嫁することができる企業など他にあるだろうか。アップルの新型iPhoneの需要は予想を下回り、サプライヤーへの注文が削減された。スマホ市場の成熟化や競争激化が理由に挙げられているが、中でも重要なのは価格だ。新型iPhoneは749〜1000ドル。2016年には649〜769ドルだった。この価格差は大きく、ユーザーは手持ちのiPhoneをしばらく変えずにいるか、より安い端末に乗り換えている。雇用市場の引き締まりで労働コストが上昇しているうえ、企業は関税などを背景とする原材料費の上昇にも見舞われている。コストを埋め合わせるには値上げという手段があるが、消費者が反発すれば、販売の落ち込みに直面するか、値下げで利益率の縮小を甘受することになりかねない。投資家にとってはいずれも痛手となる。