20代の残業時間は20時間も減少!
一番残業している年代は30代に

 今回の調査では、減少している残業時間を年代別にも集計し、傾向に特徴があるかどうかも調べています。2012年から18年までの20代、30代、40-50代の月間平均残業時間の推移を見ていくと、どの年代も継続して減少していることがわかります。

 その中でも特に顕著なのが20代の残業時間の減少です。12年には46時間にも上っていた月間の平均残業時間は2015年から大幅に減少しはじめて2016年には35.5時間に。その後も減少を続け、18年には28.1時間となっています。これは30代の29.1時間よりも少ない残業時間です。以前であれば最も残業時間が長いのは20代でしたが、16年には30代を逆転。現在、最も残業時間が長い年代は30代となっています。

 なぜ20代の残業時間は他の年代以上に大幅に減少したのでしょうか。考えられる要因の1つが上司や先輩の約6割が新入社員に対して「成長につながる仕事でも残業しないことを優先し残業を減らしている」傾向にあることです(参照:日本能率協会マネジメントセンター「イマドキ若手社員の意識調査2018」)。会社からの残業時間削減要請を受けて、マネジメント層が20代の残業時間減少に積極的に取り組んだ結果でしょう。

 一方で、若手社員の意識も要因として考えられます。日本生産性本部が行った「平成30年度 新入社員『働くことの意識』調査によると、「人並み以上に働きたいか」との質問に対して、「人並みで十分」と答えた人が61.6%と過去最高を更新。また、「若いうちは進んで苦労すべきか」では「好んで苦労することはない」も過去最高の34.1%になったことから、会社での昇進などに興味がない若者が増えていることも20代の残業時間減少につながっていると考えられます。

 働き方改革関連法案の施行まであと4ヵ月。中小企業は時間外労働の罰則付き上限規制が20年4月まで猶予されるとはいえ、対策は待ったなしの状態です。厚労省も公表している残業時間の減少に成功している事例なども参考にしながら、社員の生産性を向上させる取り組みのいち早い実施が求められています。

(本記事はVorkers[ヴォーカーズ]からの提供データを元に制作しています)

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