外国人労働者が増えると
ブラック職場も増える理由

 なんてことを言うと、「留学生や技能実習生の問題を解決するためにも、『外国人労働者』をしっかりと活用できるような法整備が待ったなしなのだ」などと、もっともらしい反論をする方もいらっしゃる。こうした方々は、「労働者数が十分に増えれば、待遇は自ずと改善する」という楽観論者でもある。しかし、どんなに立派な制度設計をしようが、何十万もの労働者を受け入れようが、今の方向性では、100年経っても、外国人にパワハラやセクハラをする事業者を撲滅することはできない。

 一度でも、給料安くて待遇最悪、パワハラも蔓延みたいな職場で働いたことがある方ならばよくわかっていただけるだろうが、「ブラック労働現場」というのは、どんなに「人手」が足りてきたとしても、「ホワイト労働現場」に変わらない。

 大量の労働者が職場に流れ込んでも、賃金も低いし、待遇も悪いので、フットワークの軽い人は逃げ出すし、責任感のある人は潰れていく――という感じで、単に入れ替わりが激しくなるだけ。ブラックぶりはまったく変わらない。

 むしろ、職場環境は間違いなく悪くなる。

 ちょっと考えれば当然だ。経営者からすれば、低賃金労働者がじゃんじゃん来てくれるのだから、賃金を上げる理由が見当たらない。離職率が高いというのも裏を返せば、堂々と「使い捨て」にできるということだ。つまり、労働者が増えれば増えるほど、福利厚生や労働環境の整備をする必然性がどんどん減っていくのだ。

 ここまで言えばもうお分かりだろう。「外国人労働者」という名の低賃金労働者がワッと入っても、人手不足に悩む業界がホワイト化することは断じてない。むしろ、労働環境はより悪化して、彼らよりも弱い立場の留学生や技能実習生をさらなる苦境へと追いやることになるのだ。

 そして実はこれも、すでに発生している現象から容易に予想できる。それは技能実習生の「失踪」だ。

 現在、国会でも野党が追求しているが、外国人技能実習生が、受け入れ先企業と揉めて、姿をくらますケースが右肩上がりで増えていて、2017年には7000人を超えている。

「真面目でよく働きます」というのが謳い文句の彼らが、なぜ仕事をおっぽり出して逃げるのかというと、人間関係もあるが、最大の原因は「雇用のミスマッチ」が発生していることだ。

 現在の職場よりも、金払いのいい仕事があると聞いて、そちらへ流れていく。つまりは、低賃金で辛い仕事に嫌気がさして、次の日から出社しなくなる日本の若者たちと、それほど変わらぬ力学が働いているのだ。

 これも冷静に考えれば当然だ。国会や一部のインテリは、「来るべき人口減少のためにも、外国人労働者の受け入れは待ったなし」なんて感じで、外国人労働者のことを、日本人が思いのままに動かせる「奴隷」か「部品」のように捉えているが、彼らは我々となんら変わらない「人間」である。