米アマゾン・ドット・コムはクラウド市場では大幅なリードを維持しているように見えるかもしれない。だが、とりわけクラウド市場の競争が分野をまたぎ激しさを増している状況を踏まえると、危険な賭けには打って出ていないようだ。アマゾンのクラウド事業、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が最近開いた年次会議で発表した新規サービスは、マイクロソフトのサービスに対抗することが狙いだとアナリストは指摘している。その顕著な例が「AWSアウトポスト」と呼ばれるサービスだ。企業はこれにより、社内のプライベートネットワークと、アマゾンのパブリッククラウドネットワークの両方でアマゾンのサービスを使用できるようになる。このいわゆる「ハイブリッドクラウド」は、急成長するクラウド市場で最も重要な分野だと広く考えられている。多くの大手企業は、必要なすべてのコンピューター作業をアマゾンのようなパブリックのクラウド上に移管することに消極的か、または法的に不可能な状況にある。この分野は、長年にわたり法人向けソフトウエア事業を手掛けてきたマイクロソフトが強みとするところだ。モルガン・スタンレーが最高情報責任者(CIO)を対象に最近実施した調査によると、44%がハイブリッドクラウド市場で最も重要なサービス供給業者はマイクロソフトだと回答した。アマゾンとの回答は25%にとどまった。