「生活保護を受けるとやる気がなくなる」は本当なのか
「生活保護はやる気を失わせる制度」という見方は非常に根強い。一度生活保護を受給すると、多くの人がなかなか労働復帰できないのは、なぜなのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「生活保護でやる気がなくなる」
を検証する3つのポイント

「生活保護は、やる気を失わせる制度」という見方は、非常に根強い。笑顔とエネルギーに満ち溢れた楽しそうな人が生活保護で暮らしていることは、事実として少ない。何が原因なのかはともかく、生活保護で暮らしていることと、体力や気力や尊厳が失われがちであることは、強く結びつきがちだ。

 今回は、この問題の解決策の1つとして挙げられることの多い、次の3点のアイデアを考えてみたい。

(1)働いても収入が増えない「収入認定」の仕組みが、生活保護からの脱却を妨げているのではないか。

(2)生活保護から脱却すると、社会保険料や医療費の自費負担によって、かえって生活が苦しくなる。この問題を解決する必要があるのではないか。

(3)世間、特に「頑張っているのに生活保護より苦しい」と感じる低所得層の視線をもう少し温かくするために、生活保護を受給していない低所得層を、もっと支援する必要があるのではないか。

 現在、厚労省は「生活保護受給者に対する就労支援のあり方に関する研究会」を開催しているが、非公開なので内容は不明だ。例えば10月19日に開催された第4回会合ではパソナからのヒアリングが行われたが、資料は公開されていない。しかし、公開されている議事要旨からは、本人の就労意欲を重視していることが読み取れる。いずれにしても、生活保護と就労については、「都市伝説」が多すぎる。

 最初に、大切なことを1つ確認しておく必要がある。働いて生活保護から脱却できる可能性がある人、言い換えれば単身者で年収200万円程度の収入を得られそうな人は、何人いるのだろうか。

 細かく集計された年次・年度次の最新データが揃っているのは、2016年の生活保護統計だ。とはいえ、生活保護統計から「自分の働きによって、生活保護以上の生活ができそうな人」の人数を見積もるのは、実はかなり困難なのだ。