平成の社会問題「引きこもり」に対する支援はどこへ向かうのか
平成は「引きこもり」という言葉が広く認知された時代でもあった。「幸せな生き方」を模索する当事者たちの声が大きくなるなか、求められる支援とは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「引きこもり」が認知された
平成時代の教訓を振り返る

 平成最後の年が終ろうとしている。振り返れば、平成は「引きこもり」という言葉が初めて広く認知された時代でもあった。

 平成が終ろうとしている2018年、周囲の目線を気にして「~してはいけない」と思い込まされてきた当事者たちが、声を上げ始めた。そして、「引きこもり支援」を巡る時代の空気は、「8050問題」など長期高齢化する当事者・家族の孤立が地域の課題となる中で、従来の「就労支援」から1人1人の特性に寄り添った「生き方支援」へと転換された1年だったと言える。

 2017年末、朝日新聞は1面で、80代の親が収入のない50代の子と同居を続けて行き詰まる「8050問題」を紹介する記事を載せ、共同通信は同日、内閣府が2018年度、40歳以上の「ひきこもり実態調査」を追加で行うと配信し、各紙に掲載された。

 厚労省は「ひきこもり支援」についても、2015年度に施行された生活困窮者自立支援法に基づき、今年度から当事者団体のつくる居場所やプラットホームなどのサポート事業に対して、1自治体あたり上限300万円(補助率2分の1)の支援を始めた。一方的に就労をゴールに置くのではなく、そもそもの国の同法の理念である「誰も見捨てない」「誰も見放さない」という「生き方支援」を財政面でも明確に打ち出した形だ。

 18年8月、日本経済新聞は『変わるひきこもり支援 就労から居場所づくりへ』という見出しの記事を掲載した。これまで就労が中心だった国の支援は、2000年代には「ニート」という造語が使われ、原則39歳までを対象に、短期間で就職率を上げる面接指導や訓練などが中心だったため、目的に馴染めない中高年層や生きづらさを抱えた人たちがこぼれ落ちてきた問題を指摘したものだが、こちらも共同通信の配信だ。

 KHJ全国ひきこもり家族会連合会の調査によると、40代以上で10年以上引きこもる長期高齢者の7割は就労経験者であり、職場で傷ついて恐怖を感じている体験者に、就労へと押し戻そうとする支援そのものがなじまなかった。にもかかわらず、これまでの支援の枠組みは就労支援が主眼に置かれ、こぼれ落ちた人たちの多くは遮断されることで希望がなくなり、家族ごと引きこもらされてきたといえる。

 NHKが取り上げる「ひきこもり」像も、従来の社会側からの目線から、引きこもってきた本人たちの目線へと移っていき、生きていたいと思えるように頑張る姿や声をダイレクトに伝える番組づくりへと変わったのが印象的だった。

「クローズアップ現代+」では、「ひきこもりルネサンス~生き抜くためのヒント~」と題して、引きこもってきた経験者たちの様々な生き方、当事者たちがつくり出す居場所や媒体、多様な人たちとのプラットホームである対話の場などが紹介され、「ハートネットTV」でも、居場所活動や当事者媒体をつくる本人たちが次々に番組に登壇、自らの意思で紡ぎ出す言葉を発信するなど、それらの姿や声が全国各地で孤立する当事者や家族たちに届けられ、勇気づけた。