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山口組のハロウィーンを
警察が静観せざるを得ない理由

 そもそも山口組がハロウィーンで菓子を配るようになったのは1970年代からといわれている。当時、ハロウィーンの風習は日本ではなかったが、西日本の玄関口・神戸では、外国人居住者も数多い。その子どもたちが、「トリック オア トリート」と総本部にやってくるようになってからのことだという。

山口組のハロウィーンに夢中な子供たち、見守る神戸市民の複雑な心境(下)トイレットペーパーが母親たちに大好評だった

 真偽不明の話ではあるものの、地域住民によると、最初の頃、山口組側は子どもたちに「お小遣い」を渡していたという。毎年10月末日に、決まって子どもたちがやってくることから、時の山口組組長が、「あれはなんだ?」と組員たちに調べさせた。すると、「どうも海外の地蔵盆のようなもんらしいでっせ」という。

 これが山口組によるハロウィーンの菓子配りの由来である。これが徐々に地域に浸透し、また日本でもハロウィーンの風習が広まるにつれて、「山口組がハロウィーンを行っている」といつしかメディアやネットで取り上げられるようになり、広く大勢の知るところとなり、今日へと至っている。

 それにしても年々、反社会的勢力排除の機運が高まるなか、なぜ、地域の子どもや母親たちが総本部内に出入りすることを誰もとがめないのか。

 捜査関係者によると、これは「(山口組総本部内という)敷地内で行っていること」だからだそうだ。敷地外ならいざしらず、敷地内で行っていることをとがめるわけにはいかない。そこにみずからの意思で入っていく者をとがめることもできないのだそうだ。