連邦準備制度理事会(FRB)が米国債の買い入れを減らすと、利回りは上がるのか下がるのか。ウォール街の混乱した世界では、わずか数カ月で答えが入れ替わった。昨年の夏には、量的引き締め(QT)は債券利回り上昇を意味するとされた。FRBは米国債などの買い入れを毎月500億ドル(約5兆4000億円)減らすことでバランスシートを縮小していた。これに欧州中央銀行(ECB)による債券購入の終了と日本銀行の国債買い入れ縮小が加わったため、多くの投資家は利回り上昇が待っていると考えた。その同じ投資家は今、必要であればQTを終了する可能性を示唆したジェローム・パウエルFRB議長の先週の発言に飛びついている。FRBの毎月の国債買い入れ額が予定を上回るかもしれないとの考えは、国債利回りを押し下げる(価格を押し上げる)のではなく、急激に押し上げた(価格を押し下げた)。株価も上昇した。