2015年に中国経済が急減速したとき、負債に苦しむ国有企業や不動産開発業者には救済が必要だった。中国政府は資金力のある世帯に助けを求めた。中国経済は今、再び減速している。国家統計局によると、2018年の国内総生産(GDP)の成長率は前年比6.6%で、28年ぶりの低水準だったという。今回、苦しんでいるのは世帯や民間企業で、国有企業や不動産開発業者はさほどでもなさそうだ。中国政府の政策対応はこうした状況を踏まえたものになり、2009年や2015年のような融資ブームを期待している投資家は恐らく裏切られるだろう。現在の景気低迷の原因は、前回の景気低迷の対応策にあるのかもしれない。2015年には、数年間の過剰投資のせいで住宅在庫が積み上がり、国有の鉄鋼・セメント企業の利益率は最低水準となった。この問題を解決するため、中国政府は銀行が住宅ローンの貸し出しを増やすことを認めた。これによって不動産開発業者は在庫水準を低下させたり、建設を促したりしやすくなり、国有鉄鋼・セメント企業の利益率が回復した。2015年初めには17%だった住宅ローン残高増加率が2016年末には前年比35%に上昇していた。それ以外の銀行融資残高の増加率は同期間に14%から9.5%に低下した。広くもてはやされた2016年と2017年の「レバレッジ解消」はむしろ債務の借り換えだったのだ。