スイスアルプスの澄んだ空気は昨年、世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)に出席していた投資家に恐ろしい真実を露呈させた。スイスに集まったエリートたちは経済と市場に極めて楽観的だということだ。キャッチフレーズは「世界の同時回復」で、市場に対する弱気姿勢は完全に影を潜めているようだった。この自信に満ちあふれたムードは見逃し難く、注意深い人たちにとっては完璧な売りのサインとなった。その後、楽観姿勢は悲観姿勢に変わった。しかし、投資家もエコノミストも今、悲観的になっているとはいえ、その度合いは1年前の楽観的ムードには遠く及ばない。そのため、今年のダボス会議は逆張り投資家の買いを正当化するものにはならないだろう。今年重要になるのはムードよりもファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)だ。