一般には知られていない同族企業の内幕をのぞくと、超富裕層の特権的な世界が広がっていた。

 「あなたの階級はどれ? 現代版カーストの恐怖」では、年収の高い経営者・役員層を「資本家階級」として「新・階級社会」の頂点に位置付けている。資本家階級は254万人で全労働者の4.1%にすぎないが、同族企業のオーナー社長やその家族はその中でもさらに上澄みの超富裕層であり、長年にわたって国内の富を牛耳ってきた。

 下図を見てもらいたい。これは資産規模で見た場合の富裕層のピラミッドだ。野村総合研究所がまとめたもので、預貯金、株式、債券、投資信託、生命保険、年金保険といった「純金融資産保有額」(資産の合計額から負債を差し引いた金額)が1億円以上5億円未満の世帯を富裕層、5億円以上を超富裕層としている。保有資産が3000万円未満の世帯が4173万世帯に達するのに対して、同族企業の創業家一族が中核を成す超富裕層は、わずか7.3万世帯にとどまる。